悦ちゃんの看取り道先案内ブログ#10
飲み込むための
「咀嚼(そしゃく)」とは?
お世話になります。
看取り道先案内人の小林悦子です。
大切な人生の最終章を豊かにするために
ニュースレターをお届けいたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
前回は「摂食」を紹介しました。
口に取り込んだ食べ物を
「嚥下(えんげ)」につなぐために
「咀嚼(そしゃく)」が必要となります。
私はご家族が後悔しないために
これらを「勉強する機会」を
家族が分かり易いように続けてきました。
原因や成り立ちを理解することで
家族とチームケアができるようになったのです。
最期まで「望みも叶えながら」
苦しまないで食べて生きていくことに
知恵を出し合える仲間になりました。
そして、ご家族自身の歳のとり方も
上手になっていきました。
今日の主役の「咀嚼(そしゃく)」は、
口の中で食べ物を飲みやすいように唾液と混ぜながら
食べ物の塊=食塊(しょっかい)を作る工程です。
毎日、当たり前のように行なっている行為ですね。
食べ物は口に入れた時には様々な形と硬さがあります。
これを飲み下すためには
まず噛み砕いた後
奥歯ですり潰しながら
唾液と混ぜたのちに
口の中(特に舌の中央)で均一な
ひとかたまりの状態にする必要があります。
この塊(かたまり)を食塊(しょっかい)といい、
食塊を作るための口の中の運動を
食塊形成(しょっかいけいせい)と言います。
食物を噛み砕くとき、
舌と頬は協調して食物を臼歯の上にのせ
そこに保持しようとします。
また、舌は咀嚼時に食べ物を
左右の臼歯に移す働きをします。
このイメージは馬の口の動きのように
まるでローリング状態です。
咀嚼してできた食塊は集められ
舌背に乗せられます。
この過程を食塊形成と呼びますが
私たちは無意識下でこんな高度な行為を
繰り返して生きているのですね。
そして、この咀嚼に必要な「唾液」は
健康な成人で1日1.0〜1.5リットル分泌されるといわれています。
個人差も多く、
季節・年齢・性別・身体状況・服用薬剤によっても変動します。
食塊形成以外にもたくさんの役割を持つ「唾液」は
全身の健康に欠かせない重要な要素なのです。
口腔ケアの重要性を
「口臭防止」「虫歯予防」レベルで
考えていると大変なことになります。
統合的に考えられるようになっていきましょう。
次回は「嚥下」につなぎます。